くも膜下出血とは

くも膜下出血とは

くも膜下出血とは、くも膜と呼ばれる脳表面の膜と脳の空間(くも膜下腔と呼ばれ、脳脊髄液が存在している)に存在する血管が切れて起こる出血です。
80~90%は脳動脈瘤と呼ばれる脳の動脈にできた「こぶ」からの出血が原因です(図①)。

脳動脈瘤(図①)

脳動脈瘤が大きくなり、脳や神経の働きを障害して症状を出すこともありますが、多くは出血するまで無症状です。

症状はほとんどが突然激しい頭痛で、「バットで殴られたような」「今までに経験したことのないような」、「金鎚でなぐられたような」と形容されます。
運動麻痺や言語障害などが合併するとは限りません。この点で他の脳卒中(脳内出血、脳梗塞)に麻痺を伴うことが多いことと比べると対照的です。

 

検査方法

検査はまずCTスキャンを行います(図②)。出血がわずかでCTではとらえられない場合もあり、その時は腰から針をさして脳脊髄液を採取し、血液が混じっていないかどうかを調べたり、MRIを行います。
出血の原因である脳動脈瘤の場所や大きさは、その後の手術を行う上で非常に大切で、MRA(図③)や3次元CT血管撮影、脳血管撮影検査を行い調べます。

CTスキャン(図②)とMRA(図③)

脳動脈瘤の破裂が原因で生じたくも膜下出血の患者さんで最も危険なことは、来院時には一旦自然に止血している出血が再び出血することです。
再出血することで脳のダメージがさらに加わり命にかかわる状態となります。さらに再々出血となれば救命することはほぼ不可能となりますので、再出血させないことが大切です。
動脈瘤をそのままにしておくと2週間以内に約20%、半年以内に50%が再出血を来します。くも膜下出血と診断されれば、まず鎮静を行い外的刺激を避けること、血圧を安定させることが重要です。次に出血の原因となる動脈瘤の部位、大きさを調べ、手術治療になります。

 

治療方法

代表的な手術方法は開頭クリッピング術と血管内コイル塞栓術の2通りがあります。どちらの治療にも長所、短所があり、当院では患者さんの状態に応じて治療法を選択しています。

くも膜下出血の怖いところは手術が終わったら治療が終わりということではなく、その後も危険な状態が約2週目まで続きます。一つは脳血管攣縮とよばれる現象で、予防する薬はあるものの原因や治療法などはまだ確立されていません。
脳血管が4日目から10日目をピークに収縮し脳梗塞を生じます。術後は元気であってもその後に脳梗塞ができたために寝たきりになることがあります。
もう一つは正常圧水頭症です。脳の中の水の廻りが出血により障害され、脳の中に水がたまる現象です。症状は頭痛、不穏、意識障害、失禁、歩行障害です。治療は確立されており脳の水を腹腔内に流して吸収できるようにします。

くも膜下出血患者さんの予後についてですが、最善の治療を行ったとしても1/3の方が死亡され、1/3の方が後遺症(麻痺や言語障害、寝たきりなど)を残されます。脳梗塞や脳出血と同様に症状があれば早期に専門病院を受診することが重要なことです。

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