ステントを用いた脳動脈瘤治療について

ステントを用いた脳動脈瘤治療について

未破裂脳動脈瘤は、脳の中の動脈にできたこぶで、まだ破裂していないものをいいます。

破裂するとくも膜下出血になりますが、年間の破裂率は1~2%程度といわれています。

大きいもの(5-7mm以上)、不整形なもの、過去にくも膜下出血になったことがある方は破裂しやすいといわれています。くも膜下出血の予後はおおまかには1/3は社会復帰、1/3は何らかの後遺症を残す、1/3は死亡するといわれています。そのために破裂する危険が高いと判断した場合には、破裂する前に治療を行う場合があります。

 

未破裂脳動脈瘤に対する新しい治療法

治療方法には開頭クリッピング術(頭を開けて行う)と血管内治療(カテーテル治療)があります。当院では以前から両治療法を行っていますが、最近、血管内治療での新たな治療法が日本で認められるようになりました。

それはステント(図-1)を使用した脳動脈瘤治療です。ステントの名前は“エンタープライズ”といいます。2010年7月に日本での使用が承認されました。

皆さんもご存じかもしれませんが、今までのステントは心臓の血管や頚動脈で狭窄(狭くなった)部分を拡張するために使用しているものがほとんどでした。

ワイドネック(ネック幅が広い動脈瘤;図-2)の動脈瘤では中にコイルを入れた場合、親動脈(本幹)にコイルが落ちてくる心配がありましたが、“エンタープライズ”はそれを防ぐために使用されるものです。

ただし、使用は以下の患者様に限られます。

  1. 親動脈の直径が2.5-4mm以下
  2. 動脈瘤のネックが4mm以上またはドーム/ネック比が2未満
  3. 動脈瘤の最大径が7mm以上
  4. 抗血小板剤および/または抗凝固薬が禁忌でない方 (脳梗塞のリスクが高くなります)
  5. 未破裂脳動脈瘤であること

 

”エンタープライズ”を用いることで、従来はコイル塞栓術が行えなかった症例や再発例に対する治療の可能性を広げます。しかし、適応をしっかり守り、慎重に使用しなければ逆に合併症を増加させることになります。

 

 参考文献
脳血管治療の進歩;診断と治療社;坂井信之ら
ブログ;脳卒中をやっつけろ!;吉村紳一

 

 副院長・脳神経外科部長 須山嘉雄

 

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