平成27年度
- 年齢階級別退院患者数
- 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
- 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
- 成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 脳梗塞のICD10別患者数等
- 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
- その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
集計方法と定義
●病院指標は全国統一の定義と形式に基づいて集計します。
●平成27年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)までに退院された患者さんが対象です。
●入院後24時間以内の死亡又は生後1週間以内に死亡した新生児、臓器移植は集計対象外です。
●年齢は、入院1日目時点を集計しています。
●年齢階級は90歳以上を1つの階級として集計しています。
●科別の表示があるものは、主治医が所属する科を集計しています。
●該当患者が0(ゼロ)の場合は、空白で掲載し、患者数が10未満の場合は、-(ハイフン)で掲載しています。
年齢階級別退院患者数
年齢区分 | 0~ | 10~ | 20~ | 30~ | 40~ | 50~ | 60~ | 70~ | 80~ | 90~ |
患者数 | 14 | 22 | 21 | 52 | 83 | 132 | 306 | 374 | 386 | 127 |
入院患者の年齢階級別患者数の指標。80歳~89歳の年齢の入院患者が最も多い。未成年の患者(0歳~19歳)の入院患者割合は2.37%、60歳以上の割合は78.64%であった。平均年齢は69.6歳。 ■解説 当院は 脳神経疾患を専門としており、脳卒中が全体の約6割を占めています。脳卒中は高齢者に発症しやすく、そのため60歳以上の割合が非常に多い傾向にあります。 |
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
脳神経外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) | 平均 在院日数 (全国) | 転院率 | 平均年齢 |
160100xx97x00x | 頭蓋・頭蓋内損傷 その他手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし | 87 | 10.85 | 10.02 | 9.20 | 70.3 |
160100xx99x00x | 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし | 80 | 8.65 | 7.52 | 3.75 | 55.3 |
010030xx9910xx | 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし | 42 | 2.81 | 3.15 | 0 | 62.1 |
脳神経外科の上位3位までの疾患(治療)を見た指標。 ①160100xx97x00xは「頭蓋・頭蓋内損傷 手術あり」による入院。 ②160100xx99x00xは「頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし」による入院。 ③010030xx9910xxは「未破裂脳動脈瘤 DSA検査目的」による入院。 ①から③の治療を受けた患者の平均年齢は①70.3歳、②55.3歳、③62.1歳。また全国の平均的な入院期間は①10.02日(当院10.85日)、②7.52日(当院8.65日)、③3.15日(当院2.81日)であった。 ■解説 ①に区分される疾病は外傷性慢性硬膜下血腫が多く、その約8割が60歳以上の高齢者です。外傷性慢性硬膜下血腫とは、頭部を打撲し数週間かかってじわじわと血腫が脳の表面に貯まる病気です。貯まった血腫が脳を圧迫するため、症状がある場合や血腫量が多い場合は手術を行います。 ②に区分される疾病は、外傷性くも膜下出血、脳震盪、頭部打撲傷などで、脳損傷により支障をきたしているが手術を必要としない状態です。転倒しやすい高齢者約6割に加え、小児が約2割を占めるため、平均年齢が①よりも大幅に下がっています。 ③は未破裂脳動脈瘤のDSA検査を目的とした2~3日間の短期入院です。DSA(脳血管撮影)検査により動脈瘤の形や位置の詳細な情報を得ることができ、検査結果を踏まえて手術の内容を決定します。 |
神経内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) | 平均 在院日数 (全国) | 転院率 | 平均年齢 |
010060x099030x | 脳梗塞(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2あり 副傷病なし | 197 | 37.40 | 18.08 | 12.18 | 71.6 |
010060x099000x | 脳梗塞(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし | 188 | 26.65 | 15.80 | 7.98 | 74.4 |
030400xx99xxxx | 前庭機能障害 手術なし | 69 | 3.54 | 5.31 | 1.45 | 71.1 |
神経内科の上位3位までの疾患(治療)を見た指標。 ①010060x099030xは「脳梗塞(JCS10未満)エダラボンあり」による入院。 ②010060x099000xは「脳梗塞(JCS10未満)」による入院。 ③030400xx99xxxxは「前庭機能障害」による入院。 ①から③の治療を受けた患者の平均年齢は①71.6歳、②74.4歳、③71.1歳。また、全国の平均的な入院期間は①18.08日(当院37.40日)、②15.80日(当院26.65日)、③5.31日(当院3.54日)であった。 ■解説 一般的に神経内科は脳や脊髄、神経、筋肉の病気をみる内科ですが、当院は脳を専門とするため、院内では脳神経内科と呼んでいます。脳卒中患者の約8割を脳神経内科で診ています。 ①のエダラボンとは、フリーラジカル(物質を酸化する力が強い分子)を消去し、脳の血管内皮細胞および神経細胞を過酸化傷害から守り、梗塞巣が拡大しないようにする薬です。脳梗塞急性期に使用されますが、腎障害があると使用できません。 脳梗塞は重症度や治療内容により非常に多くの診断群(DPCコード)に分類されます。ここにあがった①と②の診断群以外に21分類、約100人の患者がいます。 ③の前庭機能障害とはいわゆるめまい症状です。 |
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
初発 | 再発 | 病期分類 基準(※) | 版数 | |||||
Stage I | Stage II | Stage III | Stage IV | 不明 | ||||
胃癌 | ||||||||
大腸癌 | ||||||||
乳癌 | ||||||||
肺癌 | ||||||||
肝癌 | ||||||||
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約 入院で癌治療を受けた5つの代表的な癌疾患(5大癌)の診療情報の指標。 ■解説 当院は脳神経疾患を専門としているため、5大癌の診療数はいずれも0件です。 入院で脳腫瘍の診療を受けた患者数は28、平均年齢は61.9歳でした。 |
成人市中肺炎の重症度別患者数等
患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | |
重症度 0 | |||
重症度 1 | – | – | – |
重症度 2 | – | – | – |
重症度 3 | – | – | – |
重症度 4 | |||
重症度 5 | |||
不明 | – | – | – |
日常生活をしていた人が発症した肺炎(市中肺炎)の重症度を見た指標。 入院中に発症した肺炎(院内肺炎)を除く。 ■解説 当院は脳神経疾患を専門としているため、市中肺炎の患者数は全患者数のうち10未満でした。 |
脳梗塞のICD10別患者数等
ICD10 | 傷病名 | 発症日から | 患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | 転院率 |
G45$ | 一過性脳虚血発作及び関連症候群 | 3日以内 | 56 | 6.13 | 68.0 | 8.62 |
その他 | ||||||
G46$ | 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 | 3日以内 | – | – | – | – |
その他 | ||||||
I63$ | 脳梗塞 | 3日以内 | 456 | 42.72 | 69.8 | 10.53 |
その他 | 67 | 26.31 | 72.2 | 14.93 | ||
I65$ | 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄, 脳梗塞に至らなかったもの |
3日以内 | – | – | – | – |
その他 | 25 | 7 | 74.4 | 16.0 | ||
I66$ | 脳動脈の閉塞及び狭窄, 脳梗塞に至らなかったもの |
3日以内 | – | – | – | – |
その他 | – | – | – | – | ||
I675 | もやもや病 <ウイリス動脈輪閉塞症> |
3日以内 | – | – | – | – |
その他 | ||||||
I679 | 脳血管疾患,詳細不明 | 3日以内 | ||||
その他 | ||||||
脳梗塞を国際的な疾病等の分類(ICD-10分類)に基づき、入院患者数等を見た指標。 *ICD-10分類とは傷病名がコード化され、疾病、傷害及び死因の統計分類のために用いられます。 I63$「脳梗塞:発症日から3日以内」による入院患者数が最も多く、平均年齢は69.8歳、平均在院日数は42.72日、転院率は10.53%であった。 ■解説 脳梗塞は当院の入院診療の中で最も患者数が多い疾患です。 脳梗塞治療において、リハビリテーションは脳梗塞の合併症・後遺症を防ぐため非常に重要です。当院では入院当初からできるだけ早期に治療を開始し、エビデンスを踏まえ、より回復が望まれる時期に治療を集中して行うことで、高い治療効果を引き出せるように取り組んでいます。 (平成27年度実績:入院からリハビリ開始までの平均日数は1.91日) また、約2~3週間の急性期治療後、回復期リハビリテーション病棟にて在宅復帰を目指した治療・支援を行います。自院に回復期リハビリテーション病棟があることで、リハビリ病院等への転院率は低く、在院日数は長くなる傾向にあります。 他院で急性期治療を終えられ、継続してリハビリの必要な患者さんの受け入れも行っているためI63$「脳梗塞:発症日からその他」の患者数も多くなっています。 |
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
脳神経外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 | 平均 術後日数 | 転院率 | 平均年齢 |
K164-2 | 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 | 52 | 1.73 | 14.19 | 13.46 | 76.9 |
K178 | 脳血管内手術 | 25 | 1.88 | 42.64 | 20.0 | 62.6 |
K164 | 頭蓋内血腫除去術(開頭して行うもの) | 22 | 1.45 | 65.14 | 40.91 | 70.4 |
脳神経外科の上位3位までの主要手術を見た指標。 ①K164-2は慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 ②K179は脳血管内手術 ③K164は頭蓋内血腫除去術(開頭して行うもの) ①から③の治療を受けた患者の平均年齢は①76.9歳、②62.6歳、③70.4歳であった。 ■解説 脳神経外科の治療は一刻を争う場合が多く、常勤医師により24時間年中無休で緊急手術が行える体制を整えています。在宅復帰を目指した治療・支援を継続して行っているため、平均在院日数は長くなる傾向にあります。 ①は外傷性慢性硬膜下血腫に対して、3cmの皮膚切開を行い、10円玉サイズの穴を骨に開け、貯まった血腫を洗い流す方法です。 ②は未破裂脳動脈瘤や動脈瘤破裂によるくも膜下出血に対して、カテーテルを用いた血管内コイル塞栓術です。体の表面近くを通る太い血管からカテーテルを挿入し、さらに細いカテーテルを入れ、動脈瘤(こぶ)の中に髪の毛よりも細くて柔らかいコイルを留置して、こぶの中を詰める方法です。 *動脈瘤に対して代表的な手術方法は開頭クリッピング術と血管内コイル塞栓術の2通りがあります。どちらの治療にも長所、短所があり、当院では患者さんの状態に応じて治療法を選択しています。 ③は急性硬膜下血腫や脳出血に対して、6~8cmの皮膚切開を行い、直径4~5cmの開頭をし、貯まった血腫を除去する方法です |
神経内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 | 平均 術後日数 | 転院率 | 平均年齢 |
K386 | 気管切開術 | – | – | – | – | – |
K178-4 | 経皮的脳血栓回収術 | – | – | – | – | – |
K609-2 | 経皮的頸動脈ステント留置術 | – | – | – | – | – |
神経内科の上位3位までの主要手術を見た指標。 ①K386は気管切開術 ②K178-4は経皮的脳血栓回収術 ③K609-2は経皮的頸動脈ステント留置術 ■解説 脳神経内科で診ている患者さんに手術が必要な場合は、脳神経外科医と連携し行っています。 基本的に手術を必要とする患者さんは脳神経外科で診ているため、神経内科の患者数はいずれも10未満でした。 ①は合併症や誤嚥などにより発症した肺炎に対して、前頚部で気管軟骨を切開し気管を開口する方法です。痰の吸引が容易になったり、より積極的な呼吸管理が可能となります。 ②は発症から数時間以内の超急性期脳梗塞に対して、太い吸引用のカテーテルやステント型の血栓回収機器などを使用し血栓を取り除く方法です。 ③は内頚動脈狭窄症に対して、カテーテルを使用しステントといわれる金属の筒を狭窄部位に留置する方法です。 |
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
DPC | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
130100 | 播種性血管内凝固症候群 | 同一 | ||
異なる | – | – | ||
180010 | 敗血症 | 同一 | ||
異なる | – | – | ||
180035 | その他の真菌感染症 | 同一 | ||
異なる | ||||
180040 | 手術・処置等の合併症 | 同一 | ||
異なる | ||||
入院医療費の支払い制度(DPC包括医療費支払い制度)から見た入院患者数と保険請求した患者数割合の指標。 入院の合併症として代表的なDPC分類から4つ患者数等を集計。 *播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん・略語:DIC) 本来出血箇所のみで生じるべき血管凝固反応が全身の血管内で無秩序に起こる症候群。感染症が重症化するケースや基礎疾患が影響していることが多い。 *敗血症(はいけつしょう) 病原体が血液中に入り込み全身へ波及したもので非常に重篤な状態。高齢者が肺炎や腎盂腎炎などの感染症を重症化し発症する症例が多い。 *真菌感染症(しんきんかんせんしょう) 真菌とは、菌類のうち細菌・変形菌(粘菌)を除くものの総称でいわゆるカビの一種。一般に免疫機能が正常であれば、真菌感染症が体の奥の器官まで広がることはないが、抵抗力が落ちていたり、何らかの病気で弱っていると免疫機能の低下によりこれが重症化する症例が多い。 ■解説 平成27年度の患者数は3、いずれも「入院契機とは異なる」ものでした。 (「入院契機とは異なる」とは、入院時の疾患を治療中、もしくは治療後に発症し、その疾病が入院の主な治療となったことを表します) このような合併症は臨床上ゼロにはならないものですが、入院中に起こらないよう医師、看護師、その他医療スタッフが一丸となって医療の質の向上に努めています。 |
更新履歴
2016/9/26 当院の指標を公開しました。