慢性硬膜下血腫とは

慢性硬膜下血腫とは

背 景

頭部を打撲した場合、頭蓋内に異常(多くは出血)が出現するのは多くは受傷直後ですが、遅れて起こってくる病気もあります。その中で最も多いのが慢性硬膜下血腫です。

発生機序

頭部を打撲し数週間かかってじわじわと血腫が脳の表面に貯まる病気です。貯まった血腫が脳を圧迫して様々な症状を引き起こします。
血腫は被膜に包まれていて、その内部に液体の血液成分が貯まったものです。発生機序は様々な説がありますが、今のところ不明です。
高齢者(60歳以上)、男性、アルコール多飲者に多いと言われています。

症 状

頻度が多いものから頭痛・嘔気・嘔吐や片麻痺(半身の脱力)や認知症が進行したような症状(記憶力低下・性格変化・意欲低下など)が出現します。病状が悪化した場合には意識障害が出現し、場合によっては昏睡となり命に関わることがあります。

診 断

頭部CTやMRIにて診断します。図のように三日月状に血腫が貯まる像を呈します。

頭部CT・MRI

 

治療法

血腫が少量の場合には自然に吸収されるのを待ちますが、症状がある場合や血腫量が多い場合は手術を行います。
手術は基本的に局所麻酔にて行います。

手術方法は以下の2種類があります。

穿頭術
3cmの皮膚切開を行い、10円玉サイズの穴を骨に開け、貯まった血腫を洗い流す方法
開頭術
6~8cmの皮膚切開を行い、直径4~5cmの開頭をし、貯まった血腫を除去する方法

いずれも手術時間は1時間程度です。手術後経過が良ければ1週間で抜糸して退院できます。
手術の合併症としては再発(10%の再発率)や脳出血、脳炎・髄膜炎などの感染症、けいれん発作などがあります。

ほんのちょっとした頭部の打僕でも起こる病気です。頭部を打撲した後に上記の症状を認めた場合には、すぐ に脳神経外科を受診するようにして下さい。

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