もやもや病とバイパス手術について

もやもや病とバイパス手術について

もやもや病は日本人を含むアジア人に多く認められる原因不明の内頚動脈の進行性の萎縮や閉塞をきたす病気です。典型的には小児期の過換気呼吸(笛を吹いたり、ラーメンをフーフーしたり)の際に脳血流が不足して、手足が動かなくなる、痙攣をおこすなどして見つかります。年月とともに新たな細かい血管が不足した血流を補うために発達して、検査で脳の血管を撮影すると湯気のように「もやもや」とした血管が認められることから病名がついて、世界中で「Moyamoya disease」(もやもや病)と呼ばれています。

この血流の不足する状態の治療には、頭の骨の外にある、耳の穴から1cm程度前、皮膚の下に皆さんも触れることのできる血管(浅側頭動脈)を頭の中の血管に結びつけてあげる手術(バイパス術)があります。この手術により、不足する血流を補うことができるとともに、脆弱なもやもや血管が破れて出血することを抑える効果も認められます。
バイパス(吻合)術には2種類あります。今回は間接吻合術について述べます。

間接吻合術とは?皆さん疑問に思われると思いますが、血管は例えるならば、水のある所に向かう木の根のように、血液不足の場所に生えていきます。これを利用して、血管を生やしてあげる方法です。もちろん、接ぎ木のように血管を切って脳に刺しておけば生えるとまではいかなくて、耳の前の血管(浅側頭動脈を)を丁寧により分けて、頭の骨を切って脳の表面に直接載せて固定することにより、球根の根のように血管が脳に伸びていくことが期待できるのです。これによって、もやもや病のように進行する血管の萎縮に対抗することができるのです。この手術については、血管を載せる方法にいろいろなやり方がありますが、1979年に東京医科歯科大学(TMDU)脳神経外科の松島善治先生が発案したEDAS(イーダスと呼んでいます)という手術が世界的に高い評価を得ています。当院でも直接吻合術とともに、患者さんの状態に合わせて行っています。

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