t-PAによる血栓溶解療法

t-PAによる血栓溶解療法

脳梗塞の最も理想的な治療は、「詰まった血管を再開通させて脳細胞を救うこと」ですが、「言うは易く行うは難し」で、有効な治療法はなかなか見つかりませんでした。
ところが、t-PA(アルテプラーゼ)という血栓を溶かす薬剤を使うと、ほとんど後遺症なく自宅に帰ることができる患者さんがt-PAを使わない場合と比べて、明らかに増えることが証明されました。
具体的には100人の脳梗塞の患者さんにt-PAを使うと39人がほとんど後遺症のない状態になりますが、使わなければ13人少ない26人にとどまるということです。
日本でも2005年の10月よりこの治療が保険適応になりました。

t-PA(アルテプラーゼ)

 

ただし、t-PAを使うためには、「脳梗塞が生じてから3時間以内にt-PAを投与する必要がある」ことをはじめ、さまざまな条件をクリアする必要があり、そのため脳梗塞で病院に来られた方の2-5%(100人に2-5人)程度しか、この治療は行われていません。
さらに、ルールを守って使っても 6%(100人に6人)程度の確率で症状が悪くするような脳出血を生じます。
うまくいけば劇的に症状がよくなる一方で、効果がなかったり、症状を悪くしたりする可能性がある治療法であることを知っておいていただければと思います。

当院では、2010年3月までで45人の方にt-PA治療を行っています。
投与後24時間以内に32人(71%)の方は、一旦は明らかな症状の改善を認めました。したがって、t-PAを投与可能な早い時間帯に専門病院を受診し、投与の適応があるか決めていくことが最も重要です。
さらに、血栓を溶かすことと同じくらいその後の症状の悪化や、脳梗塞の再発を防いでいくことも大切と考えています。

 

副院長(神経内科主任部長):野村 栄一

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